ハードウエアの詳細

こちらのページでは、Piceiver のハードウエア構成の詳細についてご紹介します。

(本機は2014年に作成したものです)

Piceiver 電気構成

ブロック図

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コンポーネントの配置

各コンポーネントの筐体内の配置について説明します。

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上図は、本体を底からやや正面方面より見た写真です。 実装上の都合から主な基板モジュールは本体天面に装着する形になっています。 後方に Raspberry Pi 基板、前方に Analog AMP 基板、Power Distribution 基板が左右に配置されています。 USB DAC board は写真上の左手側面に配置しました。

外に出る USBやLANの端子は見た目の関係で、Raspberry Pi から直接出さず、延長ケーブルを改造して実装しています。 同一面から出ている USB 端子の一つを機内配線に使う(USB DAC boardとの接続)ので、これを機内に隠す為の処置です。

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本体を底からやや背面方面より見た写真です。

真ん中にチャンネル選択のロータリースイッチ(Rotary Switch)が、右側にボリューム(Volume)を見ることが できます。これらの基板配置で一番重要視したのが、このボリュームと Analog AMP 基板を最短にすることでした。 ココにはノイズがかなりのる為です。

左手には、電源スイッチ(Power Switch)とLEDインジケータ(Power Indicator)を見ることができます。 Power Distribution Board へハーネスで接続しています。

今から考えると、決してこれがベストの配置であると言い切れませんが、出来る範囲で結構押し込んだのでは ないかと思っています。

各モジュールの詳細

Piceiver を構成する各モジュールの詳細を見ていきます。 モジュールの名称は、別資料の部品表(BOM)に記載の名称にあわせてあります。

Raspberry Pi 1 B

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本機のメインとなるモジュールです。製作時期の関係で、Raspberry Pi 第一世代の model B を使用 しています。OS及びインターネットラジオのソフトウエアはSDカードにインストールされます。

Audio Assy

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USBで受けたデータをDA変換しスピーカーが駆動できるレベルまで増幅して出力するモジュール です。USB DAC および Analog AMP により構成され、この二つはLine Out レベルのアナログ信号で インターフェースされます。さらに細かく見ていきます。

USB DAC board

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DACボードは、秋月電子で販売されているキット[AKI.DAC-U2704 REV.C]を利用しました。 Linux はサポートOSに入っていませんが、Raspbian の該当のバージョンで問題なく認識されました。 なお、出力のRCAコネクタは使用せず Analog AMP に直接同軸ケーブルで接続しています。 搭載されているICは、TI製 PCM2704 です。こちらの方面は詳しくないのですが、webで調べてみると そこそこ評判の良いDACのようです。

Analog AMP board

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アナログアンプのボードは、秋月電子で販売されている[AE-8207]を利用しました。 チップにTA8207KLを使用しています。Unisonic Technologies という見慣れないメーカーですが、 このTA8207K というチップは、もともと東芝の商品で生産終了品となっているようです。 TA8207KLはセカンドソース品だそうです。

電源電圧は6Vから15V。電圧が高いほどパワーも出せるのですが、ACアダプタからの 電圧生成の都合で9Vで使用しています。

TA8207KL の持っているミュート機能を利用するために、ピンソケットの端子だしをしています。 リファレンス SW1 のジャンパを搭載せず、ジャンパソケットとしています。 ここに後で説明する MUTE CNT board を差し込み、Raspberry Pi の GPIO からオンオフを コントロールします。

音量は可変抵抗で調節します。キットでは二つの10KΩの半固定抵抗が基板搭載する形になっていますが、 Piceiver へは、その信号線をケーブルで引出しフロントパネルに装着する二連ボリュームに 接続する実装にします。ボリュームは10kΩのAカーブ品を使用しました。増幅前のレベルの低い信号を 引き回すことになり、ここはノイズが非常に乗りやすいので最短で結線するように注意しなければなりません。

2系統のアナログの入力信号は、アンプキットのリファレンスで言うところの抵抗 R3, R4 とボリューム VR1, VR2 で分圧されアナログアンプICの入力に接続されます。その為、これらの抵抗値は実際に接続する 入力信号のレベルに対して最適な値に変更するために通常変更調整が必要です。 今回の設計では、適当な値で実際に動かして実物を検証しながら調整していく手法をとりました。

結果的には、アンプキットのリファレンスで言うところの分圧抵抗 R3, R4 は、100kΩとしました。 ということで、結果的にはVR1,VR2,R3,R4 すべての値はキットのデフォルトと同じとなりました。

Power distribution board

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機内で必要な電源生成をするボードです。

必要な電圧は Raspberry Pi と Audio DAC用に 5V。そしてアナログアンプ用に 6V~15Vの電圧 です。また、アナログアンプはノイズ対策のためにLDOを使いたいので、入力電圧よりある程度 電圧差が必要です。ですが逆に入力電圧があまりにも高すぎると、電源回路の発熱が問題になります。 いろいろバランスを考えて、入手性の良い12VのACアダプタを使い、アナログ用にはそこから9Vを 生成して使うことにしました。

12V入力は、リアパネルに装着されたEIAJ標準コネクタを装備した DC IN Cable Assy ハーネス経由で、12V IN のピンヘッダに供給されます。 9V出力は、Analog AMP board のピンヘッダへ、5V出力は、Raspberry Pi の micro USB B コネクタ経由で供給します。

フロントパネルのスイッチ用の端子、パワーインジケータLED接続用の端子も用意してあります。

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9Vの生成は、LDO L7809CV 9V/1A を使用しました。5Vの生成ですが、LDO だと、発熱が 大きいのでスイッチングレギュレータモジュールを使用しました。秋月電子で販売されている V7805-1000 というもので、三端子レギュレータと同じように簡単に使える優れものです。 (ちょっと高いですが。)

オリジナルな回路なので、ユニバーサル基板にスズめっき線で手配線で仕上げています。

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回路図になります。9V系は LDO。5V系も LDOライクに使えるスイッチングレギュレータ モジュールを使っているので単純なものです。 電源スイッチは電源を直接切るのではなく、FETのロードスイッチを制御する方法を取って います。特に意味はありません。ただ、試してみただけです。PWR_SW 端子間をショートさせると パワーオフ、オープンにするとパワーオンです。

回路的には、5V系も 9V系もそれぞれ 1Aは出力できる設計にしてあります。

mute control board

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本機のソフトウエアが起動するまでの間、何も対策しないと音声出力が不定になるため「ザワザワ」とした 雑音が出力してしまいます。そのため、アンプのスイッチ機能を使用してその期間オフ、つまりミュート します。Raspberry Pi の GPIO を1本使用してコントロールします。

Analog AMP 基板のミュートは、基板シルクの SW1(キットでは0Ω抵抗を装着する)の両端を オープンとすることによって行います。ショートするとアンプがオンします。 これは内部回路的には、TA8207KLの3番ピンを12番ピン(電源ピン)とショートになります。 最初は、3番ピンを抵抗でプルアップする回路で制御する回路としたのですが、うまく動きませんでした。 ある程度電流が流れる回路の為らしいです。というわけで、ちょっと大げさな回路ですが、 ここの部分、特に解析はしていません。動いたからいいというアバウトなものです。

mute control board としては、Raspberry Pi のGPIOから MUTE 端子を HI にすることにより RMT端子とAVDD端子が導通し、Analog AMP基板のSW1がショートし電源がオンするという仕組みです。

C201は、AMP オン時の「ボツ」音対策です。いろいろ試したのですが、完全に消すことはできず 起動時の不快な音は少し残ってしまいました。

Rotary SW Cable Assembly

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Raspberry Pi の2.54mmピッチ2列26ピンのピンヘッダから GPIO や UART などを引き出す為のケーブルです。

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1回路12接点のロータリースイッチ(SW601)へは、2.54mmピッチ2列26ピンのレセプタクルからGPIO 12本分(12チャンネル)と グランドをに接続しています。 ロータリースイッチのつまみを回すと、12本中1本の GPIO がグランドへ接続され、信号レベルLowを Raspberry Pi が検知する仕組みです。他のピンはフローティングですが、CPUの内蔵プルアップを有効にして信号レベルHi が 検知されます。これだけの為に12本のGPIOを使うのは無駄にも見えますが、簡単なためこのようにしています。 GPIOの設定は、デフォルト設定から変更されています。プルアップの設定を含めアプリケーションがこれを行っています。

MUTEコネクタ(CN602)は、mute control board に接続され、アナログアンプICの起動時の雑音をミュートします。 GPIO を1本使用します。

UARTはデバック用途で出してあります。TX, RX, GND の3線による接続です。

LED Cable Assembly, Power SW Cable Assembly

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LED Cable Assembly: 電源のインジケーターとして緑色LEDを使用していますが、パネル取付LEDホルダを使用してフロントパネルに 直付けできるようにしています。回路的には電源基板(Power distribution board)の電源コントロールを行っているロードスイッチの後段に 抵抗を介して接続されます。

Power SW Cable Assembly: 電源スイッチを電源基板(Power distribution board)に接続する為のものです。電源回路のロードスイッチの都合上、 スイッチがショート(make)で電源オフ、オープンで電源オンとなっています。接触不良が起こるとオンしてしまう ことになり、あまり「よろしくない」仕様ですが修正するのも面倒なのでそのままです。ご注意のほどを。

DC IN Cable Assembly

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ACアダプタの接続する為の DC IN ジャックから電源基板(Power distribution board)への接続ケーブルです。 電源電圧 12V 極性は、EIAJ準拠で中心が12V外周がGNDの接続です。電源基板接続側のコネクタは、単純な2.54mm ピッチのピンソケットを使用しているので極性を間違わないように取り付け時要注意です。ケーブル色赤が12V、 グランドが黒としています。

LAN Extension Cable Assembly

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Raspberry Pi の機内配置の問題で、LANコネクタを背面へ直接出すことができないため、LAN延長ケーブルで対応しました。 パネル取付型 RJ-45ジャック(ネジ&ナットで取り付け)が装着されている市販のLAN延長ケーブルを購入し、 長さを合わせるために切断、別途購入したRJ-45プラグで再結線しました。なお、RJ-45プラグの結線には専用の 圧着器具が必要です。

USB Extension Cable Assembly

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Raspberry Pi の機内配置の問題で、USBコネクタを背面へ直接出すことができないため、USB延長ケーブルで対応しました。 パネル取付型USB type A レセプタクルが装着されているUSB延長ケーブルを利用し、長さを合わせるために切断、 別途購入したUSB Type Aプラグで再結線しました。機内配線ということと配線スペース節約の為、プラグのオーバーモールド (手で挿す時に持つ部分の樹脂性のカバー)は使用しません。

この延長ケーブル、よくマザーボード等を購入すると付属していたりしますが、市販もされています。

USB Cable standard A to mini B

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Raspberry Pi と Audio Module の USB DAC board を接続します。ホスト側 Raspberry Pi standard A コネクタ、 デバイス側 USB DAC board は、mini B コネクタです。市販の短めのケーブルを購入し加工して使用しています。 機内配線で干渉したため、Type A コネクタ側のケーブル断線防止の為に設けられている樹脂製蛇腹部分を はぎ取りました。

AC Adaptor 12V/1A

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Piceiverに電源を供給する AC アダプタです。12V/1A です。DC側のコネクタは、EIAJ規格準拠のものです。 内側がプラス、外側がグランドになります。電流容量ですが、実測にて十分であることを確認しております。

Dial

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言ってしまえばただのツマミですが、オーディオ機器の高級感を高めてくれる重要な部品です。 アルミ製の重厚な一品を選択しました。ずっしりと思いです。購入時、1個500円以上もしたのですが、 Piceiver の顔を精悍な物にしてくれました。

BOX chassis

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金属筐体ですが、市販のアルミボックスに加工を行い使っています。ベースにしたのは、 LEAD社製 カバー付きアルミシャーシ P-612 (150/60/150mm)です。裏側のパネルを外し、内側に粘着式の 樹脂製スペーサを適切なところに貼り付け各基板をビス止めする構造にしています。

BOX chassis, bottom lid

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シャーシのカバーは底面になりますが、ゴム製の足を四隅に張り付けています。片面がシールになっているので 保護シートを剥がして貼り付けるだけです。中央から左下にある穴は、デバック用に引き出す UART ケーブルの為にあります。φ20mmの穴です。

Spacers

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筐体に貼りつけたスペーサーのおおよその位置です。位置は実際に基板等を配置しながら現物合わせで 決めました。資料上の数字は非常にアバウトなので参考まで。なお、電源基板(power destribution board) と USB DAC 基板の一部のスペーサーは位置的にそのまま装着するとメカ的に干渉するので、一部を カットしました。

Modules Positions

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各基板モジュールの配置はこの図の通りとなります。

Chassis Modification - front panel

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フロントパネルは、操作の為のツマミ、スイッチ、インジケータを装着するために穴をあけます。 寸法図はこちらです。全て丸アナなのでセンターポンチ、ドリル、リーマーを使用して仕上げます。

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こちらが加工後の写真です。

Chassis Modification - rear panel

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リアパネルは、DCジャックやスピーカーターミナル。そして、LAN, USB などのコネクタを露出 させます。寸法図はこちら。丸アナなのでセンターポンチ、ドリル、リーマーを利用、角孔は ドリルとハンドニプラを利用して仕上げました。

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こちらが加工後の写真です。角穴がいびつですね。ハンドニプラで真っ直ぐに仕上げるのは難しいです。(笑)

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